私のこれまでの職業経験から導き出されたキャリア論をお話する『私のキャリア論』の第6弾です。
私が考えるキャリアのポイントは全部で9つありました。
ということで、本日はキャリア選択上の軸を考える上での観点として、『努力のムダ使いを回避するためにテクノロジーの動向を押さえろ』というお話です。
テクノロジーの動向を押さえる意味
自分のキャリアを考える上で、テクノロジーの動向を押さえる意味とは一体なんでしょうか。
それはズバリ、「ムダな浪費を回避する」ということにあります。
端的に言ってしまえば、「明日、なくなる仕事に就くな」ということに尽きます。
例えば、今年、菅政権が発足し、河野太郎氏が行政改革相に就任、大いなるムダの一例として「お役所で求められる意味のない押印(ハンコ)をなくす」と発言しました。
余談ですが、アメリカでは承認したというしるしとして、サインが一般的です。
普段はサインをササっとして終わりなので、かなり楽なのですが、アメリカにいながら日本のサービスを使うとき、押印を求められて困った経験があります。
さて、少し話がそれましたが、ここでもしあなたが一般的なハンコ屋に就職したら、かなり未来が暗いことは、容易に想像できますね。
こんな時代にハンコ屋に就職する人はいないと思いますが、これはかなりリスクが顕在化した例です。
ハンコ屋さんくらい廃業の危機が如実に現実味を帯びていなくても、同じくらいリスクのある職業が、まだ顕在化していないだけでまだまだいっぱいあります。
テクノロジーの代替の波
押印という文化は、サインに切り替わったわけではありません。
元々時代に合わない、ムダなお役所的慣習だったわけですが、ハンコの廃止を後押ししたのが、テクノロジーの波であることは疑いようもありません。
直接的に役所での押印がテクノロジーで代替されるかは、その事務作業やサービスの内容にもよると思いますが、以前は押印で本人の承諾を確認するという行為が、テクノロジーの認証技術で代替できるようになったことには大きなつながりがあると思います。
テクノロジーの力で代替できるのに、何をまだ紙とハンコでやっているのだ、というのは企業にも言えることです。
新型コロナウイルスの流行が、こうしたリアル(物理)でのアクションをデジタル(仮想)で代替する流れに拍車をかけました。
「押印文化」は目に見える一例にすぎません。
これからは確実にテクノロジーによる代替が進んでいくでしょう。
消えていく仕事、新しく生まれる仕事
「ハンコの廃止=はんこ屋さんの廃業」はかなり直接的でわかりやすい例ですが、これからの「職業の淘汰」を予想する上では、もう少しテクノロジーの進化が経済や社会に及ぼすダイナミズムを見る必要があります。
詳しくは過去のエントリーに記載しているので、こちらをご参照いただきたいと思いますが、テクノロジーの進化以外にも、「グローバル化」が職業の未来を考える上で大きなリスク・ファクターになっていることに注意にも必要です。
上記の過去のエントリーは、渡邉正裕さんの著作『10年後に食える仕事 食えない仕事: AI、ロボット化で変わる職のカタチ』を読んだ所感等をまとめたものですが、端的に言ってしまえば、AIの進化で人の職業は2極化していきます。
AIを活用してさらに高給取りになる、あるいはAIやロボティクスが踏み込めない領域に逃げ込むという①AIの恩恵を受ける&AIと競合しない層か、AIやロボティクス、グローバル化の代替により競争が激しくなり、②低賃金になるか職を失ってしまう層、のどちらかにわかれてしまうということです。
この淘汰から逃れるためには、人間に残る5つの仕事、すなわち「①創造ワーク、②感情ワーク、③信用ワーク、④手先ワーク、⑤ボディワーク」を組み合わせた職に就くのが正解です。
この5つの点を押さえた職業選びをすれば、少なくとも10年から20年くらいは、その職業で飯が食っていけるでしょう(ただし不況や本人の過失による解雇などを除く)。
ただ、職業は消えていくだけではありません。
消える職業があれば、新しく生まれる職業もあります。
10年前にYoutuberとかインフルエンサーという言葉はなかったですが、今や小学生のあこがれの職業になったり、何億と稼ぐつわものが出たりする立派な職業になりつつあります。
ただYoutuberはYoutubeというプラットフォームに依存した職業であるため、プラットフォームに依存しない、広くデジタルチャネルを活用したエンターテイナーという職業ジャンルが生まれる可能性もあり、まだまだ過渡期である可能性はありますが、デジタル領域での職業の広がりは今後も加速していくものと思われます。
世界にあるものの数が限られており(=希少性がある)、人間が働く必要がある限り(=ロボティクス+ベーシックインカムで労働から解放された世界になっていない)、職業というものがなくなることがありません。
いつの時代も、不要なものは自然に淘汰されていくだけです。
「時代に不要となるもの」にキャリアの軸を置いてはいけません。
そしてテクノロジーの動向を押さえることが、それを見極める最善の方法です。
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ひとことポイント
・テクノロジーの動向を押さえて、キャリアの進路を正しく見極めよう
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