好きなこと「だけ」にこだわり過ぎるな【キャリア論④】

get out from the shell 02.キャリア・副業

私のこれまでの職業経験から導き出されたキャリア論をお話する『私のキャリア論』の第4弾です。

私が考えるキャリアのポイントは全部で9つありました。

私のキャリアに関する考え方9つ
  • キャリアはプランニングできない
  • 自分を前進させるために価値観を磨け
  • 新しいことにチャレンジするならPDCAではなく、BML
  • 好きなこと「だけ」にこだわり過ぎるな
  • 強みをテコに人生の突破口を開け
  • 努力のムダ使いを回避するためにテクノロジーの動向を押さえろ
  • 経験に勝る知恵はないが、経験からどう教訓を抽出するかで、知恵の陳腐化速度は変わる
  • 自分の能力を証明することにこだわるな、ヘタレがバレてもいいから成長を目指せ
  • キャリア・仕事は大半の人にとっては大きなウェイトを占めるが、結局、人生の一部でしかない

ということで、本日はキャリア選択上の軸を考える上での観点として、『好きなこと「だけ」にこだわり過ぎるな』というお話です。

「好きなこと」にはどれくらいこだわるべきか

好きなことがわかっていて、リスクが取れるのならやるべき

自分のキャリアや就職先を考えるとき、「好きなこと」には、どれくらいこだわるべきでしょうか?

私の結論としては、「好きなことがわかっていて、自分がリスクを取れる状態なのであれば好きなことにこだわっていい、ただし上限(期間、金額)を決めよう」ということです。

好きなことがわかっているなら、それを突き詰めていくのは、一度しかない人生を有意義に過ごす、ある意味で最善策です。

例えば若いうちとか、独身であるとか、逆にある程度年齢がいっており、キャリア人生の終着点が見えてきた、という状況であれば、トライする価値はあると思います。

あるいは、副業のように、本業が安定してきたのちに「空いた時間で」というのもアリでしょう。

好きなことにトライする場合、それが稼げる仕事でかつ自分の能力と相性も良ければいいのですが、必ずしもそうでないでしょう。

ですから、ある程度の期間や投資するお金などの上限は設けた方がいいかもしれません。

終わらない「自分探しの旅」に出るのは危険

前節の議論は、好きなことがわかっている場合についてのものでした。

では、好きなことがわかっていない場合はどうすればよいのでしょうか?

自分の好きなことがわかっていて、キャリアを考えることと、自分の好きなことがわかっていない状態でキャリアを考えることは、大きな違いがあります。

好きなこともわかっていない状態の場合、まずは好きなことを探そうとばかりに「自分探し」を始めることになるわけです。

これはけっこう難しいクエストで、すぐに終わるかもしれませんが、永遠に終わらないかもしれません。

正しいやり方はなく、万人に等しく与えられた「正解」もないのが自分探しです。

やる意味はあるのかもしれませんが、時間をかける意味があるかは疑問です。

私の結論としては、「自分探しをするなら、何を検証するのかを具体的に考えつつ、実践的に、かつ素早く行動するべき」、ということです。

具体的な判断基準や成果基準もなしにやみくもに思考だけ巡らせても、いつまで経っても自分探しの旅から抜け出せることはありません。

世の中には、「好きなこと」だけに邁進できる人も一定程度いる

好きなことだけで生きていくことは、けっこう難しいと思いますが、ここで問題をややこしくすることがひとつあります。

それは、世の中には、「好きなこと」だけに向かって一直線に邁進できる人も一定程度、存在することです。

そしてそういう人は露出度が高く、発信力もあったりするので、他者に与える影響力が極めて高いことが多いのです。

あなたがそういうタイプの人である場合、ぜひ自分の好きなことにまっしぐらに邁進してほしいと思います。

ただ、そういう人はむしろ「レアキャラ」であり、大多数の人が、自分の好きなことで食べていけるわけではありません。

これは確率論の話なので、あなたがそういうタイプかどうかは私にはわかりませんが、確率的には、そうである可能性はあまり高くありません。

どんな困難があってもやり抜く力やポジティブに考える思考、臨機応変に戦術を変えられる柔軟性、そして好機を見逃さない冷静さと、多くの人を巻き込める情熱などの資質が必要でしょう。

「レアキャラ」になること自体は正しい戦略ですが、自分の性格や能力、そして自分が好きなことのビジネス性を冷静に考えずして、好きなことだけに邁進するのは危険です。

むしろ、絶対にやりたくないこと、嫌いなことを知っておくべき

好きなことを突き詰めていくは、収益性やビジネスの観点からすると、リスクが高くなることが多いでしょう。

趣味でやっている人がいる分野は往々にして、好きを仕事にすると、一部のプロ以外はかなり収益性が落ちることになります。

そこで私がむしろ考えていただきたいことは、「絶対にやりたくないことは何かを考える」ということです。

好きなことがわからなかったり、収益性が低くても、やりたくないことや嫌いなことを避けるという戦略を取ることはできます。

例えば、飛び込み営業は絶対にやりたくないとか、コールセンターのアウトバンドセールスをやりたくないとか、数字を扱う仕事は苦手だとか、色々あるでしょう。

必ずしも避けては通れないものもありますが、あなたが他に大きな強みを持って、それをアピールできるのであれば、高確率でやりたいことを避けることはできます。

「好きなこと」以外の視点を考える

さて、ここまで好きなことをキャリアに活かすことについて考えてきましたが、ここからは好きなこと以外の視点を取り入れることを考えてみましょう。

できることで考える

キャリアを考える際、自分自身が得意なこと、他者に貢献できることという視点で見るのが一つです。

必ずしも好きではないが、なぜか昔から得意であるとか、自分の意志とは関係なく配属された部署で長年同じ業務をやっていたので、できるようになったとか、そういうケースが該当します。

好きでかつ得意であれば文句ありませんが、必ずしもそうであるとは限りませんね。

ただ、できることというのは、あなたの大きな武器です。

これを活用しない手はありません。

できることがやりたいことである場合以外は、できることを軸にキャリアを検討することは、1つの基本事項になります。

ですから、キャリアを重ねていくということは、できることを増やすことでもあります。

できることが増えれば、キャリアの幅も広がっていきます。

何でもやる器用貧乏は、それもまた考えものですが、何か得意なことを軸にして、そこから深さと広さを増していくことが、キャリアをステップアップさせる王道と言えるでしょう。

解決したい課題で考える

次にぜひ検討していただきたい視点は、自分が「解決したい課題」を考えるということです。

これは必ずしも好きなことと同一ではなく、また得意なことと同じでもありません。

「解決したい課題」という視点は、私の尊敬する落合陽一さんが提唱するものの見方です。

詳細は過去のエントリーをご覧いただければと思いますが、落合さんは「私たちは適切な社会課題を設定して、それを解決することに注力すべき」と唱えています。

仕事を通じて何を実現するのか、どんな社会課題を解決するのかは、大きなキャリア上のテーマであるため、おそらく一生をかけて実現していくようなものを設定すると良いでしょう。

一生をかけて追求するが、それでも解決までは至らない、ただ自分が取り組む前よりは大きく前進した」くらいの大きさでも良いと思います。

やりがいで考える

3つ目の視点は、「やりがいで考える」というものです。

自分は「何にやりがいを感じるか」、「仕事を通じてどういうことが得られれば満足するのか」を考えます。

これは例えば、「お客様に直接感謝の言葉をいただくと、私は無上の喜びを感じる」とか、「チームで目標を達成すると最高にエキサイティングな状態になれる」とか、「自分の作ったシステムが動くのを見ると、心の底から満足感があふれ出てくる」のように、仕事を通じて何が得られると、自分が幸福になることができるかを考えます。

人によっては社会的に大きな意義を持つプロジェクトを動かすことにやりがいを感じる人がいる一方で、小さくても毎日のお客様との触れ合いにやりがいを感じる人もいるでしょう。

これは人の価値観ですので、千差万別です。

これまでのキャリアもしくは人生で、どういうところに喜びを感じたかを振り返ってみると、見えてくると思います。

結論:色々素早く試そう、そして人生という大きな枠組みでとらえるよう

結局は実践することが早道

ここまで色々と「好きなこと」やそれ以外の観点からキャリアを考える軸について書きましたが、結局のところ、何が自分に合っているのかは、やってみなければわかりません。

ですので素早く実践して検証して学習する「BML」のサイクルを回すことが重要です。

仕事を通じてやりたいこと、解決したいことが出てくることもある多々あるでしょう。

元々興味を持っていなかったけど、たまたま配属された部署の仕事にのめりこんでいくことだって大いにありえます。

色々なことに素早く挑戦できれば、それだけ経験値も増えますし、自分の適性や趣向がどういうところにあるのが、より明確に分かっていきます。

高速回転のトライアル&エラーこそ、現代におけるキャリア構築のもっとも有効な手段なのです。

仕事は自分のミッションを達成するための手段の一つ

そして最後にお話をしたポイントは、仕事というものは、自分のミッション(=生きる意味)を達成するための手段の一つだ、ということです。

究極的には、別に仕事で自分の生きがいとかやりがいを感じなくても、趣味とかプライベートなど、別の活動で感じることができれば、それはそれで良いと思います。

これからの時代、仕事と趣味の境界線も、本業と副業の境界線も、どんどん曖昧になっていくでしょう。

ですので、1つのキャリアにあまりこだわり過ぎず、人生という大きな枠組みの中でやりたいこと、すきなこと、やりがいを感じることを実現していければ良いと思います。

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ひとことポイント

・好きなことだけにこだわり過ぎず、人生という大きな枠組みで色々な軸を基に検証しながらキャリアを築こう

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