私のこれまでの職業経験から導き出されたキャリア論をお話する『私のキャリア論』の第8弾です。
私が考えるキャリアのポイントは全部で9つありました。
ということで、本日はキャリア選択上の軸を考える上での観点として、『自分の能力を証明することにこだわるな、ヘタレがバレてもいいから成長を目指せ』というお話です。
証明型ではなく、習得型で行こう
あなたは仕事でまったく新しい分野の難しい課題を与えられたとき、「ワクワク」しますか、「不安」を感じますか?
この質問の答えは、課題の性質やあなたの趣向との相性、あなたのそのときのストレス状況などにもよってくると思いますが、たいていの場合、人は毎回どちらかの反応が決まって強く出る傾向にあるでしょう。
ハイディ・グラント・ハルバーソンが著した『やってのける』という本の中に「証明型」と「習得型」という目標達成の考え方があります。
詳しくは過去のエントリーに記載していますが、簡単に言うと、「証明型」の状態の場合、人は知能や能力を証明したいと考えています。
したがって、自分の能力を超えそうな課題には不安を覚えます。
対して「習得型」の常態の場合、人は新しい知識や能力を習得したいと考えるため、自分の能力を超えるような困難な課題でも挑戦したいと考えます。
これが冒頭の質問をした理由です。
あなたは失敗をどうとらえるか
実は私は少し前まで、傾向的には「証明型」の人間でした。
無意識のうちに自分の能力を証明したいと思っている、いえ、自分に能力がないと思われることを避けたいと思っていたのだと思います。
そして「失敗」というものを極度に恐れていました。
これはもしかしたら、一種の大企業病のようなものだったのかもしれません。
物事を滞りなくこなすことを是とする文化に染まりかけていたような気がします。
そもそも日本の教育が、失敗しないための勉強、決められた答えを間違えないで解答するための勉強を推奨してきているので、日本人の大部分の人に刷り込まれている考え方なのかもしれません。
ただ、新しい組織に異動したり他社(の他国の拠点)に出向したりして経験を積むうちに、「失敗」に対する考え方が変わっていきました。
証明型の思考の場合、失敗とは自分の能力がなかったことの証です。
ですので、何としても避けたいと考えます。
一方で習得型の思考の場合、失敗とは、そこから何かを学ぶことができる、自分が成長するための学習機会なわけです。
これを知った時は、私にとって大きなパラダイムシフトでした。
思えばスタートアップと呼ばれるベンチャー企業は、この「失敗から学ぶこと」がアイデンティティにプリインストールされている組織体です。
最近はMBAのコースでもアントレプレナーシップ、起業家精神を必修にしたりしていますが、より多くの小さい失敗を繰り返しながら、多くの学びを経て、取り返しのつかない大きな大惨事になる前に軌道修正をし続けるというマネジメント方法は、現代に生きる我々にとって、もはや必須の考え方になってきていると感じます。
私はなにも「証明型」が間違っていて、「習得型」のみが正しいと言いたいわけではありません。
「証明型」も「習得型」もメリット、デメリットはあるのです。
要は使い分けの問題です。
ただ、私自身、長いことデフォルトが「証明型」になっていた期間が長いので、意識して「習得型」のマインドを持とうとしているだけです。
人生は終わることのない学習
思えば、人生とは終わることのない学習の旅です。
学習し続けるかぎり、そこには成長があり、人生は輝き続けるでしょう。
そう考えれば、全ての困難は人生を面白おかしくしたり、自分が成長するためのチャレンジだと思えてきます。
今、失敗を恐れて自分のできる範囲のことで必死に取り繕うとしていると、1年後、3年後には失敗してもいいから挑戦する人と大きな差がついてしまいます。
小さく、多くの失敗をしましょう。
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ひとことポイント
・失敗から学ぶ者こそが人生を輝かせることができる者である
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