最近、スマホで手続きが完結するようなサービスが増えました。
もはや店舗に行かなくてもいい時代が来ているということです。
それでも生き残る店舗とはどんな場所でしょうか。
ということで今回は、「手段」のお店と「目的」のお店という観点で、店舗の将来について書き記しておきたいと思います。
そのお店はユーザーにとっての「手段」か「目的」か
何か用事があってお店に行くときに、行くのがワクワクするような場所と、逆に行くのが面倒だと思う場所があります。
両者を分ける違いは何でしょうか?
それはおそらく、そのお店があなたにとって目的を達成するための手段としての場所なのか、それともそこに行くこと自体が目的になっている場所なのかの違いだと思います。
両者は明確に分けられない場合もありますが、店舗の業態によって、おおむねどちらかに寄っています。
「手段」寄りの店と「目的」寄りの店
例を挙げて見てみましょう。
「手段」寄りの場所
「手段」寄りの場所とは、手続きをしに行く場所です。
例として以下のような場所があります。
生活上、何らかの必要性が生じて、しかたなく行くようなところです。
これらは、多くの場合、その場所に行くこと自体にはワクワクしません。
行かないでも用事が済ませてられるのであれば、そうしたい。
そう思う人が大半のはずです。
しかも、そういう場所に限って、営業時間が限られているので、昼間に働いている人には不便です。
貴重な昼休みの時間を割いて行こうものなら、長蛇の列に並ぶこともあります。
ますます行きたくない場所になってしまいます。
「目的」寄りの場所
一方、目的寄りの場所とは、ワクワクがある場所です。
例として、以下のような場所があります。
多くの場合、生活上、必ず行かなければならないわけではないけれど、行きたいから行く、そんな場所です。
生活上、必須の場所ではないがゆえに、サービスで人を惹きつける必要があるため、居心地のいいところが多いでしょう。
Amazon Primeで翌日に本が届く時代に、本屋に行く理由はなんでしょうか。
本屋は回遊して選ぶプロセスが楽しいのです。
特に「積読」派の人は、購入までのプロセスで満足しているので、彼らにとって本屋はアミューズメントパークです。
また本の中身も確認できるという点もあると思いますし、偶然の出会いが待っているのも、本屋のワクワク感を醸成する大切な要素です。
はい、私も本屋が大好きです。
同じように、カフェもコーヒーを飲みたいだけなら家で飲めばいいわけですが、カフェの空間に行きたいから行くわけです。
スターバックスはそれを家でもオフィスでもない、第三の居場所「サードプレイス」と定義しましたが、まさに自分のサードプレイスを求めて行くのです。
はい、私もカフェが大好きです。
中間的な場所
手段と目的が場合によって異なる場所もあります。
例としては、以下のような場所です。
家電量販店の場合、消耗品だけを買いに行くのであれば、すでに決まった商品を購入するという手続きの場所になります。
この場合、Amazonで買ってもまったく問題ありませんので、デジタルに代替されます。
ただ、家電量販店は、大型家電の実物を確かめて買うという、確認の場所でもありますし、家電をよく知るプロの意見を聞くという場所でもありますので、目的の場所にもなりうるのです。
飲食店は、たとえば、時間のないときにサッと入る立ち食いそば屋などは、どちらかというと、お腹を満たすという手続きに近い場所になると思います。
一方で、気になる人を誘って入る高級レストランは、その場の雰囲気も含めて、いることを楽しむ目的の場所でしょう。
飲食店の場合、単純にデジタル化はされませんが、たとえばUberEatsのデリバリーが伸びてきたように、デジタル化への対応や対策はやはり必要になります。
デジタル化を味方にしよう
上の例で見たように、デジタルに代替されるような場所は、早晩、淘汰されてしまいます。
店舗運営で必要なことは、デジタルに代替されるのではなく、補強されるような場所を作ることです。
銀行や郵便局のような場所も、デジタル化が進めば手続きのための場所としての意味は失わなわれていくでしょう。
そのとき、ユーザーに何を提供できる場所を目指すのか。
単純に店舗を閉鎖する以外の付加価値はなにか。
その答えは、ワクワクする場所、行きたいと思う場所を作ることでしょう。
ワクワクというほどではなくても、行けば自分の悩みや課題が解決する、とか、居心地が良いから行きたいと思う、くらいでも最初はいいと思います。
ただ、最終的には、ワクワクするくらいにまで持っていかないと、やはりリアルに構える店舗の意味がなくなるのではないかと思う今日この頃なのでした。
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ひとことポイント
・ワクワクするからつい来店したくなるような店舗を作ろう
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