昨日の投稿で、これからの時代「ウィズGAFA戦略が必要だよ」というお話をしました。
2020年5月8日には、東証1部上場企業の全企業の時価総額を、GAFA+Microsoftの5社で上回ってしまいました。
新型コロナウィルスの影響もあるとは思いますが、GAFAの勢いはしばらく止まらないと思います。
でも、GAFAって、よくよく考えると、ここ20年くらいの間にできた4つの企業(群)ってだけで、国家でも国際組織でもないわけです。
そんなGAFAは、「はたしてこの先どれくらいプラットフォーマーであり続けるのか?」ちょっと疑問がわきました。
ということで、今回は「GAFAの覇権がどれくらい続くのか」というテーマで考察したことを、お話をしたいと思います。
GAFAのおさらいもしてます。
ちょっと長いです。
目次をつけますので、適当に飛ばしてくださいませ。
超初心者向け「GAFA」のおさらい
GAFAとは
多くの方がご存知だと思いますが、GAFAとはアメリカの巨大なテクノロジー企業であるGoogle、Amazon、Facebook、Appleの4つの企業の総称です。
少し前に、スコット・ギャロウェイがGAFAについて著した『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』という本が話題になりました。
この本のタイトルにある「四騎士」とはキリスト教の「ヨハネの黙示録」に出てくるものです。
四騎士は地上を支配し、戦争や飢饉、疫病をもたらす存在とされており、世間一般の人々に対する「災い」のような存在という位置づけです。
「騎士」と聞くと、日本人的には正義のために戦う者のようなニュアンスがありそうに聞こえますが、どちらかというとネガティブな意味で使われています。
スコット・ギャロウェイは巨大な力を持つGAFAに対して、畏怖の念もこめて命名したのでしょう。
プラットフォーマーたるGAFA
GAFAは、多くの人々にとって現代の生活をするうえで欠かせないサービス基盤を提供し、ユーザーに関する巨大な情報を持つことから「プラットフォーマー」と呼ばれています。
プラットフォーマーの強みは、その膨大なデータを活用することでユーザーをロックインができることです。
ユーザーの購買履歴や検索履歴をもとに、彼らが何を求めているかを分析し、その個人の趣向にあったものをレコメンドすることで、さらに便利であると感じさせて利用頻度を上げます。
この正のスパイラルによりサービスを次々に拡張させ、独自のエコシステムの中に囲い込むことで利益を独占します。
GAFAの特徴と戦略
『the four GAFA』の著者は、GAFAが共有する「覇権の8遺伝子」として、①商品の差別化、②ビジョンへの投資、③世界展開、④好感度、⑤垂直統合、⑥AI、⑦キャリアの箔づけになる、⑧地の利、を挙げています。
ただ、ギャロウェイ氏の分析は、こうした経営学的な共通項の抽出だけにとどまりません。
彼はGAFA繁栄の真の理由を「人間の根本的欲求」に求めました。
すなわちGAFAは「脳・心・性器」をターゲットにして、人々になくてはならない存在になっていると主張しています。
オリジナリティのある見方ですね。
こういうの好きです。
GAFAの強みとリスク
変わりゆく権力者のゆくえ
GAFA時代に思うことは、果たして今後、「揺り戻し」があるのか、あるとすれば、それはいつになるのか、ということです。
歴史を紐解けば、栄枯盛衰であり、おごれるものも久しからず、です。
ある組織や個人のパワーが大きくなってくると、だいたい、権力の独占による弊害が起こり、これに反対する運動が起こり、やがて権力のあるものは倒されています。
かつては「王様」であり「将軍」でした。
そして近代化以降、「国家」がこれを管理しています。
つまり、国が、富の独占を抑制する機能を有していました。
今はどうでしょうか。
ソーシャル・ネットワークが広がった現在、「個人」の力が大きくなっています。
国家による「富の再分配」や「権力集中の抑制」が機能不全を起こしたとき、個人が声を挙げて、それが集まっていき、やがて大きな力になります。
それも、けっこうな頻度で起こっています。
ちょっと前の「保育園落ちた日本死ね」や最近の「検察庁法改正案に抗議します」は、Twitterで一般市民から起こったムーブメントです。
現代は「プチ革命」が簡単に起こる時代です。
GAFAは繁栄の仕組みを自らにビルドインしている
ただ、GAFAをはじめとするテック・ジャイアントは「声を挙げはじめた個人の力」も、とっくに理解しています。
ユーザーの声の膨大なデータを持っていますし、分析もしています。
というか、みな、結局はGAFAのようなプラットフォーマーのアプリの上で声を挙げているわけです。
したがって、ユーザーの声はすぐに分析され、対策が練られ、アップデートとして実装されます。
しかも、そのサイクルはどんどん速くなっており、問題を見つけたプラットフォームはあっという間に修正されます。
つまり、消費者の声が、プラットフォームにビルドインされているとも言えるような状態になっているわけです。
政府の方針にも影響を与える、個人の声。
それを最初に発見・分析・対応できるプラットフォーマー。
さらに言えば、ほとんどのプラットフォーマーはグローバルにサービスを展開しているため、国境を越えた、巨大な影響力を持っています。
国家の範疇を超えてしまっています。
極めつけに、彼らは「アカウント停止」という、現代社会における生殺与奪権すら持っているのです。
気がついたらロックインされていたユーザー
ユーザーは便利なサービスをタダで使っているうちに、大事なものをトレードしてきました。
それはもちろん、個人のプロファイルや行動履歴にはじまる、膨大なデータです。
プラットフォーマーはこのデータを日々、大量に収集しており、どんどん蓄積しています。
この「21世紀の石油」とも呼ばれるデータを「すでに」大量に握っているというのがポイントです。
つまり、人々がデータの重要性に気づいたころには、とっくにデータを吸い上げる仕組みと、それなしでは生活できない状況を作ってしまっていたわけです。
フリーミアムとか、「タダで使える」という巧妙なトリックを使って。
これって、けっこう、ヤバイほどのロックインというか、これを覆すのって、今のところ「ムリゲー」じゃないかなぁと思います。
ユーザーとプラットフォーマーが結託しているわけですから。
GAFAが恐れる3つのリスク
GAFAが「我が世の春」を維持するために気をつけるべきリスクは、①ユーザーの離反、②新たなプラットフォーマーの出現、③国の規制くらいでしょうか。
①については、自社のサービスを使ってくれるユーザーこそが、プラットフォームのパワーのみなもとですからね。
ユーザーにそっぽ向かれると大変な目にあいます。
Facebookはプライバシー問題でやらかして、ユーザーの離反を招いたことがあります。
ユーザーあってのプラットフォーマーであることは間違いありません。
ただ、データ分析を通じて離反されにくい仕組みを持っているので、何かあっても早急に対応すれば、傷は広がりにくいし、プラットフォームなので「ネットワーク効果」が働くせいでユーザーも離れづらいですね。
持ちつ持たれつで、うまいことやってます。
②については、どうだろう、①と同じ理由で「しくじりにくい」んじゃないかなと思っています。
新しいトレンドを大量データで読めるわけですから。
仮に新しいプラットフォーマーが出現しそうになったら、買収するか、似たようなサービスを作って圧倒的な資金力で市場を取ればいいわけです。
③国の規制は、プラットフォーマーにとっては、ちょっとやっかいかもしれません。
欧州は、国がGAFAのようなプラットフォーマーを「アメリカ製のSNS」と認識して警戒感が強いのと、個人のプライバシーへの意識が強いのとで、巨額の制裁とかGDPRとかやってます。
中国市場もGAFAはあまり取れておらず、かわりにBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)が取ってます。
共産主義国家の国策がなせるワザですね。
グローバルな市場では、GAFAにも少なくともライバルはいるわけですね。
まだ直接ガチンコする場面にはなっていませんが。
日本はあまりそこら辺を考えていないですよね。
強いてあげれば「日本国内サービスの税金は払えよ」くらいでしょうか。
まあでも自国アメリカにおいては、大量のロビイストを雇って政治運動すればいいわけですし、アメリカにとっても、自国のサービスが世界を席巻している状況は好ましいわけですから、他国への展開の際の、他国政府への気の使い方が一番ポイントかもしれません。
結論
GAFAは、相当ヤバイことをやらかさないかぎり、しばらくの間、繁栄し続けます。
^U^
ひとことポイント
・ウィズGAFA時代は続くよどこまでも
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