以前のエントリーで取り上げたライオンに続き、日本の大企業が副業人材を募集するケースが増えています。
今週に入って、ヤフー・ジャパンやユニリーバも副業人材の募集をしたことがニュースになっています。
ソフトバンク株を持っている私は、特にヤフーが一体どんな人材を募集しているのか気になったので調べてみました。
といことで今回は、ヤフーの副業募集について書いておきたいと思います。
ヤフーの副業人材「ギグパートナー」募集
ヤフーが実施する副業募集は、年齢や現在の働き方(サラリーマン、個人事業主など)の制限もなく、広く人材を募集するものとなっています。
ヤフーは今回の副業人材を、「ギグパートナー」と呼んでいます。
ギグワーカーのギグからきているのでしょうけれども、「ギグ」はもともと一夜限りのライブ演奏を意味していますので、今回の募集にはピッタリのネーミングですね。
ギグパートナーの募集要項の概要を抜粋してみました。
今回の募集はまさに「オープン・イノベーション」を起こすための募集と言っていいでしょう。
というか、募集ページにもそう書いてありますし。
ヤフーとしては、社内のリソースと外部のリソースをぶつけて新しい化学反応を起こすことが目的だと読み取れます。
ヤフーというか親会社のZホールディングスは参加にアパレルのZOZO、宿泊予約の一休、金融のジャパンネット銀行など、BoCでかつチャネルがオンラインという共通項はあるものの、事業ポートフォリオとしてはかなり広範な領域をカバーしています。
このポートフォリオをいかにうまく活用して事業シナジーを出しつつ、新たな領域の市場を創造するためには、外部人材の活用が欠かせないと判断したのでしょう。
また、ヤフーのHPを見ると、明らかに昨今の新型コロナウィルスでリモートワークをする人が増えたことが、企業の副業の流れを加速させていることがわかります。
ヤフーはこれから、働く環境をオンラインに引っ越します。
どこで働いてもいい。
いつ働いてもいい。
副業も、もっとしやすくなります。
既に企業に勤めている方も。
自分でビジネスをされている方も。
あらゆる制約がなくなったヤフーという舞台で、みなさんの才能を重ね合わせ、協奏していきませんか。
出典:ヤフー・ジャパンHP
今後はより、「企業のために働くのに場所にとらわれない」ということが、副業をする上での大事なポイントになってくるでしょう。
オープン・イノベーションを起こすための多様な人材の募集
募集しているポジションを見ると、けっこう多岐にわたっていることがわかります。
さすがヤフー、こういうときでも、やるときは爆速で一気に大きく動きますね。
ということで、募集ポジションを一覧にしてみました。
最後の「オープンポジション」だけは、自分に適した募集が始まった際に通知が来るという、予約制度のようなものですので、全部で6種類あります。
全体的な特徴としては、応募者の間口を広げるために「業務に必要な経験/スキル」をかなり緩めに設定しているところです。
ただし、テクノロジースペシャリストだけは各領域の「第一人者」級を求めているので、かなり応募者が絞られそうです。
これはヤフー自身が相当数のエンジニアを社内で抱えており、真に第一線の人材レベルだけを求めている(=不足している)ということなのでしょう。
イメージ的には、一覧の上に行くほど、より上流的な業務でかつバクっとしたゆるふわな仕事内容で、一覧の下に行くほど、より職務内容や応募要件が具体的になっている感じですね。
「戦略アドバイザー」や「事業プランアドバイザー」などは応募要件があってないようなくらいゆるいので、多くの人が応募するでしょうけれど、勝ち残るのはかなりの実力者のみでしょう。
通常、企業の人材採用っは書類審査から順に対象者を絞り込んでいくわけですが、あまり間口を広げ過ぎると選ぶ側がかなり苦労するハメにあいます。
今回のやり方だとかなり書類審査の対象者が多くなりそうですが、おそらくヤフーは書類審査にAIを導入して振り落としをするのでしょう。
どういう人をピックアップしてどういう人を落とすのかのAIのチューニングが楽しそうです。
企業と副業する人の双方にWin-Winであれば、ギグパートナーのような形態は広がる
このギグパートナー形態の雇用(正確には業務委託)は、ヤフーと応募者にとって、かなりメリットがある取組みだと感じました。
たとえば「戦略アドバイザー」は業務時間が月に最大5時間程度で想定されていて、委託料は5万円です。
個人としてはちょっとしたお小遣いにもなりますし、何よりヤフーCSOの安宅さんとディスカッションができるのは、とても貴重な経験になるでしょう。
お金を払ってでもやりたいという人ですら、いるのではないでしょうか。
一方のヤフーとしても、5万円という、あってないようなくらいの経費で何かアイデアが膨らんだり、企画が前進するのであれば、万々歳です。
これは応募者、ヤフーの双方にとって、かなりWin-Winです。
この取組みにどんな人が応募して、委託先として採用されて、どんな成果が出るのか、出ないのか、そこが他の企業にも認識され始めれば、自然と副業型の外部リソース人材の活用は広がっていくでしょう。
ヤフーや先行する企業にはぜひ、取組みの成果を公開してほしいとところです。
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ひとことポイント
・企業の副業人材募集は先行企業の成功体験が伝われば広がる
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