一昨日(2020年6月20日)の日経に、リモートワーク関連で気になる記事がありました。
「GMOはチャット数制限」ってどういう意味だろうと(ここも本編で解説します)。
この興味深い見出し部分を掘り下げたら、先進的な企業が持つ「リアルさ」の価値に考えが及んだので、今日はこれについてお話をしたいと思います。
組織論っぽいですが、個人の方も、「企業」を「個人」と置き換えても読んでいただいたり、転職先を検討する際の軸として考えていただいても良いかと思います。
先発企業が持つ「リアル」
さて先ほどの「GMOはチャット数制限」の意味は以下の引用のとおりです。
社員間のコミュニケーションも重みを増す。
1月下旬にいち早く在宅勤務に移行したGMOインターネットは社内の連絡は文字によるチャットで行うが、一部部署では「同じ話題で5回以上チャットが続いたらビデオ会議システムに切り替える」とのルールを定めている。
全ての意思疎通をチャットで行うと、誤解が生じたり、時間がかかったりするためだ。
出典:日本経済新聞 2020年6月20日「在宅勤務、生産性向上探る GMOはチャット数制限」
これを見て思ったのは、先進的な取組みをする企業って、失敗とか課題をリアルに感じて、それを試行錯誤で解決しようとして、結果、おもしろい解決策に結びつくことが多い、ということです。
これって、自分たちで実際に経験した企業でないとたどり着かない「リアルな」ところだと思います。
その「リアルさ」の価値は、後発組の企業にどう導入されるかを考えるとわかります。
後発企業のトレード・オフ
後発組の企業の場合、自分たちで試行錯誤はせず、コンサルとかノウハウを知っている企業に導入のサポートをお願いすることが多いと思います。
そうすると、先進的な企業にあった「リアルさ」は、コンサルにもまれて、きれいなパッケージにさま変わりします。
ここで失われるのは、「コスト」と「(導入する際の)速さ」を引き換えにした「リアルさ」と「(他者との相対的な導入の)早さ」です。
そうすると結局、後発企業では「成果」だけに意識が集中してしまい、そこにあった「文脈」や「背景」、「自社との課題」などのリンケージが失われるのです。
すると取組みに対する「リアル感」が失われ、社員もどこか「他人事」になってしまい、結果、掛け声倒れや、やっているフリでおわってしまうのです。
その追従は「戦略」か「結果」か
後発企業が「戦略」として、あえて2番手群、3番手群を取るのならまだわかります。
コストの問題とか、そもそも戦略的に経営資源を集中すべきでないドメインでは、フォロワー戦略を取るのもアリです。
ただ、出遅れた「結果」として、後塵を拝するのはNGです。
様子見で決断ができないでいる文化がはびこっていると、本業でも致命的になってきて、結局、メインの事業領域でも負けることになるでしょう。
「先進的な取組み」に失敗しても隠すな
先進的な企業でも気をつけたいのが、失敗を隠さない方がよいという点です。
なぜなら失敗も含めて「リアルさ」を追求することに価値があるからです。
先進的な企業のプロジェクトがすべて、うまくいくわけではありません。
「ROIが出そうにない」、「導入が早すぎた」という場合もあるかと思います。
対外的にも社内的にも、失敗を大ぴらにすると「体裁が悪い」とか「上司への心証が悪い」とか考えてしまうかもしれません。
しかし、そうした失敗こそ、ぜひ内外に向けてオープンにしていただきたいと思います。
文脈から成功した側面だけを切り取っても、「リアルさ」はないですし、人の心には響きづらいです。
試行錯誤の中にある「リアルさ」こそ、先進的な企業の宝です。
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ひとことポイント
・新しいことを率先して行ったときの失敗も含めた「リアルさ」を大事にしよう
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