先日の日経に、トヨタのスマートシティに関する記事がありました。
これはトヨタのスマートシティ構想を加速するための明確な布石と言えそうです。
ということで今回は、トヨタのスマートシティ構想に見るビジネスのあり方について書き記しておきたいと思います。
プラットフォーマーとしての道筋を示したトヨタのスマートシティ構想
トヨタは2020年の始め、ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2020」にて、スマートシティ構想を発表しました。
このプロジェクトにより、トヨタは今、様々なインフラやサービス、情報が必要な街を一から作り上げることによって、日本の未来を変えようとしています。
今回のスマートシティ構想は、トヨタが単なるモビリティの企業で終わらない、モビリティを軸としたプラットフォーマーを志向していることを、明確に示しました。
企業のミッションを軸に事業を変えられるか
トヨタのすごさは、日本でも、そして世界でも圧倒的なプレゼンスを持つグローバル規模の超大企業にも関わらず、現状に慢心することなく、自分達の競争領域を模索し、再定義できるところです。
VUCAと呼ばれる環境変化の激しい現代は、いつ、GAFAのようなプラットフォーマーや新進気鋭のスタートアップに自分達の事業ドメインをディスラプト(破壊)されることや、新しい価値へのシフトにより、事業ドメインそのものがごっそりとなくなることがあるかもしれない時代です。
こういう時代に勝ち残るのは、経営理念やミッションを軸に、事業のピボットや拡大を志向できる企業のみです。
レガシーやアセットの小さなスタートアップは、持っているモノもしがらみも少ないのでピボットをやりやすい立場にありますが、トヨタほどの大企業であれば、新しいことへの抵抗感やカニバライゼーションへの恐怖感は強いはずです。
やはりCEOである豊田社長の協力なリーダーシップがあってこそのトヨタだと感じます。
トヨタにしかできない「未来の姿の丸ごと提示」
今回のスマートシティ構想は、他国では国が主導して政府の政策として進めているケースが大半です。
ところが日本では1民間企業であるトヨタがやろうとしているわけで、ここにトヨタの強い決意が感じられます。
と同時に、テスラに時価総額では追い越され、電気自動車や自動運転で新たなライバルと熾烈な競争が予想される自動車ビジネスへの強い危機感を感じます。
トヨタグループとして、モビリティだけでなく、金融や住宅、インフラなど、スマートシティを推進する上での基礎的なパーツは揃えているトヨタですが、さすがに街を一つ作るのに、グループだけではケイパビリティに不足感があります。
そこで今回、CESでのリリースを皮切りに、NTTなどとの連携をはじめ、エコシステム作りも積極的に展開しています。
やはりこれだけの大きな事業をやる上では大勢の仲間が必要で、そのためにはCESでの大々的発表という狼煙を大きく上げる必要があったということでしょう。
やはり、トヨタは強い。
日本のカリスマ経営者と最強DNAを持つトップ企業の示す未来に、心から期待したいと思います。
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ひとことポイント
・トヨタのスマートシティから日本の未来を占うべし
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