『子育てベスト100』の使い方を、子育てに苦闘する親の視点で考える

father mother and child 05.育児・教育

今回は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』を読んだので、その感想などを書き記しておきたいと思います。

本のタイトル長いですね(笑)。

『子育てベスト100』の概要

この本は、タイトルのとおりではありますが、子育てに関する様々なノウハウを100個集めた育児本です。

対象分野は「コミュニケーション力」、「思考力」、「自己肯定感」、「想像力」、「学力」、「体力」の6分野で、1つの項目につき3~4ページを割いて、子育てのポイントをイラスト付きで解説しています。

お子様の対象年齢は「3歳から小学6年生」を中心としているとのことですが、それ以降もずっと使えると、著者は記しています。

特徴としては、心理学等の研究結果を根拠として提示しているため、エビデンスに基づく育児ができるということです。

古今東西の効果的な教育方法を100も集めて1つの本にまとめたという点は、様々なメディア等で教育に関する記事を書いたり企画・構成に携わった著者ならではの試みと言えるでしょう。

『子育てベスト100』の概要
  • 古今東西の効果的な教育方法を100も集めて1つにまとめている
  • 対象分野は「コミュニケーション力」、「思考力」、「自己肯定感」、「想像力」、「学力」、「体力」の6分野
  • 1つの項目につき3~4ページを割いて、子育てのポイントをイラスト付きで解説
  • 子供の対象年齢は「3歳から小学六年生」を中心としているが、それ以降もずっと使える
  • 心理学等の研究結果を根拠として提示している

100個すべてを実践するのは難しい

さて、ここからは私の感想・私見を述べたいと思います。

この本を読んで感じた一番の感想は、「この100個をすべて実践できる人はいないだろう」ということです。

いたとしても、ごく少数だと思います。

実践すべきポイントを100個、並列に並べ立てて、果たしてどれだけの人がそれらすべてを意識しながら実践できるでしょうか。

私はこれらの実践的なレッスンの根幹に流れる教育哲学があると、もっとわかりやすくなると思いました。

つまり「モンテッソーリ教育」のような教育法です。

困ったときに立ち返ることができる、原理原則があれば、様々なことにも応用できます。

その方が1個1個、個別に事細かく書くよりも、親側の負担は減るでしょうし、臨機応変に対応できるでしょう。

『子育てベスト100』は辞典のように使おう

一番の課題から取り掛かろう

さて、前項で「100個全部実践するのは難しい」と少し否定的に私見を述べましたが、ではどうこの本を活用すればいいかをここでお話しします。

この本は端から端まですべてを実践するために書かれた本ではないと思いますので、ひと通りザーッと読んで概要を掴んだら、あとは困った時に引く辞典のような使い方になるでしょう。

何か困ったことがあったら、それについての項目を探して参考にする、くらいの使い方になると思います。

一番課題だと思う項目から、とりあえず実践してみることです。

そしてうまく行ったら、次の課題に取り組みます。

これはとどのつまりは「対処療法」的な対応ではありますが、できるところから、困ったところから少しずつやっていくことが結局は近道だったりするので、これはこれで間違ったアプローチではないでしょう。

「千里の道も一歩から」ですので、できるところから徐々に実践していけばよいと思います。

育児・教育は親の価値観をも変える

毎日、子どものためにこうしよう、こういう親になろうと実践を続けていたら、おそらく行動にプラスのフィードバックが働いて正の強化がされて、価値観、信念にも影響すると思います。

たとえば、『子育てベスト100』にある「49 本物を「体験」する」を実践しようとする親がいるとします。

ただ本人は小さい頃、何らかの理由で、「本物」を体験することを、あまり楽しいと思わなかったとします。

それでも本書を読んで、子供にはいい体験をさせたいと思って、本物の体験をできるかぎり用意した結果、子供にとてもいい影響を与えたと親が感じれば、「やはり本物の経験はいいことなんだ」という親の価値観、信念が新しく形成される(上書きされる)でしょう。

よく、子育ては親も育てるといいます。

そういう意味では、100ある行動の指針の中で、一番課題になっている一つを実践し、うまく行ったら次をやる、という風にあたっていけば、子供にも親にもプラスの影響を与えることになりそうです。

時代的背景を乗り越える

この本を読んでいて思ったこととして、過去には否定的な見方をされていた事項も、今はそうではないことがある、ということです。

たとえば、本書には「51 「ゲーム」とつきあう」という項目があります。

昔はゲーム=子供に害を及ぼすもの、という考え方で、ファミコンなどのゲームで遊ぶことにかなり厳しい態度で臨む親もいました。

ただ、今は一口にゲームと言っても色々なものがありますし、本物と見間違うほどの精巧な描写をするゲームもあります。

パズルゲームは知育的な要素もありますし、大人にも「脳トレ」が流行ったりしました。

マインクラフトは教育機関で使わているなど、世間の見方でも「ゲーム=悪」ではなくなっています。

むしろ個人的にはゲームと教育には似通った点が多いと感じますので、使い方次第では子供の力を大いに伸ばす有効なツールになると思います。

ただし、友達と一緒にやる通信対戦ゲームなど、中毒性の高いゲームもありますから、一定のコントロールも必要なこともあるでしょう。

そこはステレオタイプにならないような、かつ子供の可能性が閉じてしまわないような、親による適切な監督が必要そうです。

意外と共通するビジネス書のメソッド

この本を読んでいて面白いと思ったのは、ビジネス書にあるマインド・テクニックや、他者とのコミュニケーション術、つまり会社で部下や同僚など、「大人の他人」に接するときにも使えるテクニックが多い点です。

たとえば、「68 勉強を「習慣」にする」には、スモールステップの法則について解説しています。

過去のエントリーにも記載していますが、スモールステップの法則を活用した習慣化は、大人にも共通することです。

この本は心理学の実験に基づいた理論も多いと書きましたが、これは児童心理学や発達心理学に閉じた話ではなく、広範な心理学の知見を活用しています。

その意味では、大人の心理学を子供に当てはめている部分もありますので、大人に使えるのは当たり前と言えば当たり前ですね。

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ひとことポイント

・一番の課題だと思う項目から、一個ずつ親子で実践していこう

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