私のこれまでの職業経験から導き出されたキャリア論をお話する『私のキャリア論』の第7弾です。
私が考えるキャリアのポイントは全部で9つありました。
ということで、本日はキャリア選択上の軸を考える上での観点として、『経験に勝る知恵はないが、経験からどう教訓を抽出するかで、知恵の陳腐化速度は変わる』というお話です。
あなたの先輩のアドバイスは当てにならないかもしれない
今回まで7回にわたり「私のキャリア論」を展開しておきながら、かなり矛盾していることを言いますが、「先輩の話を鵜のみにしてはいけない」という教訓を、まずは肝に銘じていただきたいと思います。
キャリアに迷ったとき、アドバイスを先人たちに求めるのはよくある行動の一つです。
先輩の経験談を聞いたり、偉人伝などの書籍を参考にするわけです。
それはそれで間違ったことではありません。
私も実際、キャリアに迷ったときは、偉人の例を参考にすることはよくあります。
ただ、一つ忘れてほしくないことがあります。
それは、先人たちの行動が功を奏したのは、その時の、その人の持っていたマインド・経験値・スキルと環境があって生まれた結果なのです。
あなたが全く同じことをやろうとしても、それはすでに時代錯誤かもしれませんし、全然状況にフィットしないかもしれません。
いえ、あなたは全く同じだと思っているかもしれませんが、他人のある時点と全く同じ前提や状況になることは、ゲームの世界でもない限り、ありえません。
つまり、あなたがまったく同じ「行動」のみを他者の経験から切り取って実行しても、「前提」や「環境」が異なるので、まるで異なる「結果」が生まれてしまうのです。
勝負は「経験から何をどう抽出するのか」にかかっている
ただし私は、全く先人たちの体験談が役に立たないと言っているわけではありません。
肝心なのは、その「経験」から「なに」を「どのように」抽出するかということなのです。
この抽出こそが先人たちから学ぶキモですが、この抽出には2段階の大事なフィルターがあります。
1つは本人がその出来事をどうとらえたのか、もう一つは、それをあなたがどうとらえるのか、です。
このどちらかが失敗すると、その経験からいい教訓は得られません。
この経験からの教訓の抽出は、抽象的過ぎても実践で使いづらいですし、具体的すぎても応用範囲が狭くなります。
本人の抽出がうまくいっておらず、あまりにも「時代」や「環境」に即した抽出をしてしまうと、全く役に立たない「過去の遺物」になってしまいます。
「俺が若い頃は徹夜は当たり前だった」とか「俺の時はこんなのパワハラとは呼ばなかった」という「俺の若い頃は」論を展開する人がいますが、これはもう無視するしかないです。
時代が違うのですから、全く役に立ちません。
ただ、同じ話でもそこから当時の時代背景を抜きにした何か普遍的な真理なり教訓を抽出すれば、何かしらの教訓にはなるでしょう。
抽出の仕方がモノを言います。
また、個人の体験談には必ずその人の「モノの見方」というフィルターが入ります。
これは往々にして「職業」や「性格(価値観/信条)」と結びつきます。
そこを見極められるかが、他者の経験から良い教訓を抽出するポイントです。
追いかけるなら未来を創ろうとしている層を狙え
経験から教訓をうまく引き出すコツは、事実(事象)とそれをどう感じたか(感情)、そしてそこで何を考えたか(思考)を切り分けて語っているもの、そしてそれを理路整然と語っているものです。
さらに言うなら、これから起こる未来に向かってどういう経験をしていくかを語っていれば、文句ないでしょう。
私の中では、堀江貴文さんや西野亮廣さん、落合陽一さんあたりがこれに該当します。
ただ、彼らも彼らの見方でモノを語っているので(それがウリなので)、やはり自分なりの抽出は必要です。
これは自分の環境に当てはめた時に、どうなるかを考える訓練をすることが必要でしょう。
そして何より、小さく始めてみることです。
失敗してもいいから、自分の文脈に置いた実践から学び直すのです。
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ひとことポイント
・2つのフィルターに注意しながら、偉人たちや名著から教訓を得よう
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