毎年1月に米ラスベガスで開催されていた世界最大規模のテクノロジー見本市「CES」が、2021年は全面的にオンラインでの開催になると発表されました。
ということで今回は、CESと見本市の未来について考えたことを書き記しておきたいと思います。
世界最大級の技術見本市がついにオンライン開催に
コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)は1967年から始まった老舗の見本市です。
コンシューマー向けの家電見本市からスタートして、最近はGoogleなどの参入により、デジタル化の見本市に、さらに直近では様々な企業が自社の将来のビジネスモデルや構想を発表する、ビジネスモデル見本市の様相を呈していました。
それだけに各国のビジネス関係者やプレスからの注目度は高く、イベントを開催する数日間は多くの人でごった返し、ホテルの価格もビックリするくらい高騰していました。
私も今年のCES 2020には参加しましたが、見本市といいつつ、半ばお祭りのような賑わいで、色んな意味で、ラスベガスらしさ、アメリカらしさを感じられる期間だったと記憶しています。
それだけに、イベントそれ自体への影響もさることながら、CESの開催を当て込んでいたホテルやトラベル関連のビジネスへの影響も気になります。
ラスベガスで人気のショーであったシルク・ド・ソレイユは、すでにカナダ本国で破産している状態でしたので、ラスベガス界隈にはネガティブなインパクトになるでしょう。
展示会は「偶然の出会い」がウリだった
近年はソフトウェアの比重も徐々に高まってきていたとはいえ、ハードウェアを多く扱う見本市のオンライン化は、衝撃的かつ象徴的だと感じます。
ハードウェアは現物を見てナンボの世界だからです。
世界の最先端技術が目の前で動くのを見るのが、CESや見本市の醍醐味です。
プラプラ歩いているときにふと目についた人だかりの先にある、面白そうな技術との出会い。
どんなに混雑が嫌いな人でも、行ったら行ったでワクワクしてきてしまう、というあの感覚はオフラインならではではないかという気がします。
それがオンラインになったらどうなるでしょうか。
おそらく、主催者側が偶発性を演出する特別の「仕掛け」を考えない限り、自分の目的の技術を見て終わりという、あっさりした「チェック業務」に終始してしまうのではないでしょうか。
やりはり見本市には偶発性がないとワクワク感が湧いてこないのは否めないでしょう。
CESがオンライン開催になったことは、今後の大規模イベントや見本市の未来を占う上で、一つの分水嶺になるのではないでしょうか。
リアル感のある「出会い」のカギはVRか
オンラインを限りなくオンラインに近づける取り組みとしては、「VR」の活用が考えられます。
以前のエントリーでご紹介した「バーチャル渋谷」のように、「バーチャルCES」を作り上げるのです。
ただ、参加企業の製品をバーチャルで完全再現するとなると、スタートアップも含めた各企業が文字どおりデジタル・ツインを製作する必要があるため、現実的ではありません。
次善の策として考えられるのは、サイトにアクセスしたときに毎回異なるスタートアップの製品を表示したり、ルーレットボタンのようなものを設置してランダムに製品を映し出すような、「擬似的偶発性」の演出でしょうか。
擬似的偶発性に果たしてどれだけ効果があるかはわかりませんが、何もやらないよりはマシでしょう。
世界最大級の意地を見せて、どのような仕掛けを持ってくるのか、CESの今後の発表を待ちたいと思います。
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ひとことポイント
・CESのVR化に期待しよう
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