最近、ふと、「Facebookでログイン」のようなソーシャルログインの便利さと、その裏にあるユーザーのロックインの進行が気になりましたので、今回は、プラットフォーマーの持つソーシャルログインの効用について書き記しておきたいと思います。
創業領域で多くのユーザーを獲得し、次第に周辺領域へ拡大するプラットフォーマー
相変わらず進化のスピードを緩めないGAFAをはじめとするプラットフォーマーは、他のサービス提供者とのパワーの差をますます大きくしている気がします。
GAFAのようなプラットフォーマーも、元を返せば1スタートアップであり、1つのサービス領域からスタートしています。
ただ、彼らは自身の創業領域で「ディスラプティブ(破壊的)」と形容されるような、旧型サービスの問題点(ペインポイント)を取り除く素晴らしいサービスを展開し、ユーザーから圧倒的な支持を得ることで、徐々にサービス領域を周辺に広げていきました。
GAFAが登場する前の世界では、「餅は餅屋」でそれぞれの産業内のプレイヤーが自分の領域内で同業者と競争をするような状況でしたが、デジタル化は人々の行動をデータに変え、そしてそれを応用することで他の領域にも進出する力をプラットフォーマーに与えます。
ソーシャルログインをフックに、エコシステムを拡大
プラットフォーマーの大きな武器の一つは、ソーシャルログインと呼ばれる、ログイン認証のインフラです。
ソーシャルログインは、「ApplePay」や「AmazonPay」、「Googleでログイン」、「Facebookでログイン」、「LINEでログイン」など、すでに使っているプラットフォーマーのサービスのアカウント情報を基に、新しいアプリやサービスのログイン認証を行うものです。
これは、ユーザーが「新しいサービスを使おうとするたびに、いつも同じような個人情報を入力するのはめんどくさい」と思うペインポイントを解消しています。
これは、プラットフォーマーの力の根源の中でも格段に強いものです。
なぜなら、これをユーザーが使うことで、自身のエコシステム(経済圏)の中にサービサーもユーザーも双方とも取り込むことができるからです。
たとえばAmazonPayは、ユーザーの認証機能と共に決済の機能も持ち合わせています。
ユーザーは個別のECサイトに個人情報や決済情報を入力することなく、Amazonのアカウント情報を使って買い物ができるわけです。
ソーシャルログインと他のサービスと組み合わせることで、プラットフォーマーはサービサー側のロックインが可能になります。
当然ながらプラットフォーマーには、ユーザーがどういったサービサーのサービスを使っているのかという情報も蓄積されていくでしょう。
膨大なデータを活用し、さらにロックインを強固に
プラットフォーマーがサービスの入口であるソーシャルログイン機能をユーザー・サービサーの双方に提供することで、プラットフォーマーへの依存状態(ロックイン)が進み、サービスのポータル化がますます進みます。
この正の循環を繰り返すことによって、プラットフォーマーはますます強くなっていきます。
政府がプラットフォーマーの規制をしようとするのはまさに、このロックインによる寡占化です。
ひとたびプラットフォーマーが圧倒的な力を握ってしまうと、もはや誰も逆らえなくなってしまい、サービサーが不利な条件で契約を結ばされたりするわけです。
ただ、私としては、プラットフォーマーが大きな力を持っていること自体が悪いとは思いません。
その力の使い方が正しければいいわけで、それによって質の良いサービスが低価格(もしくは無料)で利用できれば文句の言いようがありません。
欲を言えば、プラットフォーマー自身が、「持てる者」としての良心を発揮して、政府に口出しされなくても適正な競争を心がけるような企業であってほしいと思います。
ただ、実質的にはプラットフォーマーを監視するのはサービスを使うユーザーであり、正しい努力をする動機を与えるのは他のプラットフォーマーとの競争でしょう。
ということで、ひとりのユーザーとしてこれからもプラットフォーマーの動向をウォッチしたいと思います。
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ひとことポイント
・ソーシャルログインをするたびにプラットフォーマーにパワーを与えていると認識しよう
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