米国でAmazonのドローン配送が認可されたというニュースが出ていました。
ついにドローン配送時代の幕開けです。
ということで今回は、Amazonのドローン配送とイノベーションについて、書き記しておきたいと思います。
ドローン配送が米国で認可される
記事によれば、米連邦航空局(FAA)がAmazonのドローンによる商用配送サービス「Prime Air」を「航空運送業者」に指定したとのこと。
まだ試験プログラム段階ではあるようですが、これによりドローンがオペレーターの「視線を超えて」配送できるようになりました。
つまり、今まではオペレーターがドローンの見えている範囲での配送しかでかったようですね。
それは、全然意味がない(笑)。
このドローン配送による配送エリアは、ドローンで30分以内で配送可能である範囲とのこと。
ドローンで30分というと、都市部であればかなりのエリアをカバーできそうです。
が、郊外になると、そうもいかず、郊外も含めて広い範囲をドローンで配達するためには、相当数の基地局を設ける必要が出てきますね。
まぁ、それはさすがにビジネスとして成り立たないのでやらないでしょうし、そんなことをする前に30分という制限が緩和されるのでしょうけれども。
ここ数年、毎年ドローン関連の特許を取得するAmazon
Amazonここ数年、毎年ドローン関連の特許を取得しており、ここから来るべきドローン時代に向けて着々と準備を進めていることを、うかがい知ることができます。
2017年:ドローン・タワーの特許を取得
Amazonは、2017年にドローンが多数離発着するドローン・タワーの特許を取得しています。
上の記事にあるとおり、円柱状のビルの外壁に、ドローンを離発着するドアが多数設けられた形状をしており、記事曰く「まるでバベルの塔のような」建物を使って技術が解説されています。
特許に記載されている基地の形状は、円柱以外にも星形やさなぎのようなミサイル型もあります。
こういうのが特許になるんですね。
2018年:ドローンへの合図の特許を取得
2018年には、Amazonはドローンへの合図に関する特許を取得しています。
これはドローンに手を振るなどの合図を送ることで、その人のいる場所へ荷物を届ける技術なんだそうです。
上の記事によると、合図を送る方法は、ドローンのカメラでとらえられるジェスチャーのほか、マイクで拾う声を使う方法も採用可能なんだとか。
おもしろいことを考えるものです。
2019年:ドローン監視の特許を取得
Amazonは2019年、ドローンによる監視サービスの特許を取得しています。
上の記事によれば、これは配送を受け取る顧客が、ついでに家の敷地の映像を確認できるセキュリティ・サービスなんだとか。
プライバシーを考慮し、家屋や敷地の撮影に同意した顧客のみへのサービスとのこと。
それにしても色々なことを考えますね、Amazonの中の人たちは。
Amazonはプロダクト・ポートフォリオ・マネージャーのお手本
今回、ドローン配送事業がついにリフト・オフ(打ち上げ)になるわけですが、Amazonはこれまでも様々な事業を打ち上げて、そして成功させてきました。
なぜ、Amazonは次から次へと新たなイノベーションを起こせるのか。
それを可能にするのは、Amazonが持つ事業マネジメント力であり、成熟事業から成長事業への資源配分の絶妙さでしょう。
AmazonはEC事業を中核に、それを補強する形で、あるいは全く新規の事業としても、様々な事業を展開しています。
フルフィルメントやAWS、AmazonPayなど、元々はEC事業を補強するために始まったこれら事業は、それぞれ独自の収益を上げるほどに成長しています。
Amazonはこうした稼げる事業から上がってくるキャッシュを、惜しみなく次のR&Dに回すことで、次の稼げる事業を作り上げます。
そして生まれた新たな事業が十二分に稼げる事業になったら、そこからのキャッシュをまた次の事業に回す、というサイクルを繰り返すわけです。
すばらしい正のスパイラルです。
経営学的によく使われるマトリクス図で、BCGのプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントという概念がありますが、Amazonは本当にこのプロダクト・ポートフォリオ理論を地で行っている気がします。
もちろんその陰には、大きく育つことができずに消えていった多くの事業があります。
ただ、失敗する事業が出ることなど、百も承知でやっているでしょうから、そのスピードは止まらないでしょう。
次はどんなサプライズがあるか、楽しみです。
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ひとことポイント
・でもカリフォルニアは広すぎて、ドローン配送は当面ないかな
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