今回は、現代の便利な生活とは切っても切り離せないシステムと、人間との関係について、システムの使う側と使われる側が存在するよというお話をしたいと思います。
人間をサポートするテクノロジーの進展
昨今、AIやRPA、ロボットに代表されるテクノロジーによる、労働の代替や省力化の進展には目覚ましいものがあります。
※RPA:事務処理を自動化するソフトウェア
テクノロジーの普及に関して身近な例を挙げると、最近は企業のHPに行くとだいたいチャットボットが右下の方に立ち上がってきて、何か困りごとがないか尋ねてくるようになりました。
これはAIを活用した省力化の例です(裏で動いているAIのレベルは千差万別ですが)。
ロボットの例で言うと、羽田空港などで稼働しているお掃除ロボや家庭用のお掃除ロボのルンバ、店頭の案内(客寄せ?)ロボのペッパーのようなものが挙げられます。
ペッパーは最近、あまり見なくなった気がしますが、新型コロナウィルスの影響で無人化に注目が集まっているので、再び普及するかもしれません。
こうしたテクノロジーは省力化の文脈で語られることが多く、人を補助し、人が好まない単純作業を代替するものとして、多くの企業や産業に徐々に普及してきています。
世界はすでに、システムの「隙間」を人間が埋める構造になりつつある
しかし、労働の代替が進むと、徐々に「人間の仕事の一部をシステムやロボットが代替する」という状態から「システムやロボットの一部を人間が代替する」と180度、立場が逆転します。
たとえば、新型コロナウィルスの影響で日本でも普及した宅配サービスの「Uber Eats」はシステム側のAIがアルゴリズムで最適なルートなどを計算し、最も合理的な判断の下に、システムが人間に指示を出しています。
メニューの提示や注文の受け付け、支払処理などはすべてシステム側が処理しますが、「配達」だけはまだ人間がやった方が効率的ですので、この部分は人間がやるイメージです。
システムができない部分を人間が補完しているのです。
Amazonの倉庫も同じです。
Amazonの倉庫は、かつてシステムの指示のもと、広大な倉庫内をあちこち走り回って該当の棚にある商品を人間がピックアップしていました。
それが今では、まだ一部かもしれませんが、ロボットが棚を人間のもとに運んで、人間はピックアップだけするようになってきています。
これもシステムができない部分を人間の手作業で補完している事例です。
ピックアップ作業もロボットで代替してしまい、なおかつコストが見合えば、人間はもう完全に必要なくなりますが、そこはまだ難しいようです。
ギグエコノミーで気をつけたいこと
システムを設計したのは、(今のところ)人間ですので、このシステムの親というか設計者は人間です。
そうすると、人間のシステムとの働き方は、大きく2つのカテゴリーに分かれます。
一つは、システムを考案したり設計したり活用したりする、システムを使う側の人間、もう一つは、システムではできない隙間を埋めるべく、システムに使われる人間です。
そしてその2つの間の収入の差は大きく開いていくことでしょう。
近年、ギグエコノミーがにわかに注目され、クラウドで誰かに仕事を発注する「クラウドソーシング」のサービスも普及し、単発のクラウドワーカーが増えました。
ここで気をつけたいのは、そのクラウドワーキングが、自分のスキルや経験を活かしたものなのか、システムの代替をする作業的なものなのか、という点です。
これはオフィスのホワイトカラーの人で、マニュアルに沿って何も考えずに、右から左へ淡々と作業をこなす「作業者」も同じです。
私たちがやるべきことは、システムを使いこなす側に回るための努力で、システムを補完する側にはならないようにするべきです。
過渡期に一時だけやるとか、何も考えない時間が欲しいとか、健康のためのエクササイズを兼ねているとか、明確な戦略があってやっているのであればよいのと思います。
何も考えずにダラダラと続けてしまう、というような状態にはならないようにしましょう。
思考停止して時間の「切り売り」はしてはいけません。
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ひとことポイント
・システムに使われるのではなく、システムを使いこなす側の人間になろう
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