本日もようこそ、Uです。
今日は、「情報の非対称性を活用したビジネスってもう難しいよね、だからオリジナル・コンテンツを作って勝負した方がいいよ」というお話です。
まぁ情報の非対称性を活用したビジネス自体は、(不当に大きな利益を上げていなければ)別に悪いことではないんのですが、それがもうできなくなってきているので、違うところで勝負しよう、ということですね。
情報を独占することで利益を上げていた旧来型プラットフォーム・ビジネス
情報の非対称性を活用する「中抜き」ビジネス
「情報の非対称性」という言葉はご存知でしょうか。
簡単に言うと、AとBという2者がいて取引をする際、AがBより多くの情報を持っているため、取引に有利であるという状態のことです。
そしてAというのはたいていの場合、企業のことで、Bというのは一般ユーザーのことを指します。
旧来の企業は、この情報の非対称性を使って大きな利益をあげてきました。
こういうビジネスは右から左にヒト・モノ・カネ・情報を移動するだけだったりするので、「中間搾取」とか「中抜き」なんて言われたりします。
企業が右から左に移動させるときに十分な付加価値を与えることができれば、あまりこういう言われ方をしない気がしますが、プロセスが不透明で手数料が高いと、こういうふうに言われてしまいます。
情報の非対称性を活用したビジネスを行う企業には、旧来型のプラットフォーマーが多いです。
たとえば、銀行とか、派遣会社とか、広告代理店とかです。
旧来型プラットフォーマー:銀行
銀行の海外送金はまさに「中抜き」ビジネスの典型例です。
今も、新しいテクノロジーによる低コストな送金方法を知らない人は、バカ高い手数料を払ってお金を海外に送っています。
海外送金は「為替」による中抜きビジネスですが、銀行の本業である「預金・貸付・為替」は、すべて中抜きビジネスです。
預金者からお金を預かり、資金が必要な企業に貸付を行うわけで、これは預金者が直接、企業に貸し付けるノウハウも情報もないから成り立つビジネスなわけです。
旧来型プラットフォーマー:派遣会社
派遣会社も「中抜き」ビジネスの典型例でしょう。
労働を提供したい労働者と、仕事を提供したい企業の情報を一手に持つことでマッチングを実現させて、手数料をもらうわけです。
派遣会社の場合、労働者側に自社のサービスを登録してほしいので、求人案件は公開します。
ただ、案件は全て公開しているわけではありませんし、勤務先の詳細な情報は実際にコンタクトしてみないとわかりません。
また、労働者側の情報を一般公開することもありません。
ここにも非対称性が発生します。
「中抜き」ビジネスを破壊するのは「中抜き」をするプラットフォーマー
デジタル化がすべてを透明にした
インターネットの出現で、すべてのビジネス環境が一変しました。
昔であれば大企業が圧倒的にユーザーより多くの情報を持っており、それを活用したビジネスができました。
しかし、インターネットの出現以降、ユーザーが積極的に情報を取りに行くことができるようになり、情報の非対称性で商売をするというビジネスモデルが、崩壊しつつあります。
先ほど銀行の海外送金の例で言うと、デジタル・テクノロジーで海外送金を手がけるスタートアップに、トランスファーワイズ(TransferWise)という企業があります。
彼らは不透明な銀行の海外送金を透明にして、さらに独自のビジネスモデルでコストを圧倒的に下げました。
ここでは詳細にはお話ししませんが、彼らのビジネスモデルは、国内間送金を組み合わせるという画期的な方法です。
彼らのサービスを使うとわかりますが、海外送金で外貨に交換する際、自分たちの為替レート以外にも他の銀行のレートをユーザーに提示して、どこが一番安いかを教えてくれます。
まぁ、たいていはトランスファーワイズが一番安いです。
ユーザーが参加するP2P
ここ数年で、ブロックチェーンという、大企業や中央政府のような胴元がいない取引を可能にするテクノロジーも出現しました。
これと前後して、P2P(Peer to Peer)モデルという、ユーザー間で直接取引をするようなビジネスモデルが流行り出しました。
たとえば、ソーシャルレンディングのような、従来であれば銀行などからお金を借りていたユーザーが、個人間でお金の貸し借りを直接できるようにする仕組みです。
先ほどの派遣会社の例で言えば、プラットフォーム上で直接ユーザーと企業が情報を公開して、お互いを相互に検索できるタイプのマッチング・ビジネスが出てきています。
在宅勤務などで業務を受託するのであれば、「クラウドワークス」と「ランサーズ」が有名です。
スポットコンサルのようにスキマ時間でサクっと時間単位の受注をするのであれば「ビザスク」とか「サンカク」などがあります。
こうしたデジタルなソリューションによる透明性をウリにしたプラットフォーマーは、あらゆる産業で勃興しています。
旧来型プラットフォーマーを駆逐するデジタル・プラットフォーマー
こうして旧来型のプラットフォーマーはデジタル・プラットフォーマーに駆逐される危険性が出てきました。
デジタル・プラットフォーマーはとにかく、透明性をウリにします。
そしてデジタル化することで余計なコストを省き、圧倒的な低価格を実現し、ユーザーの支持を得るのです。
プラットフォームは「ネットワーク効果」があるので、ユーザーが多ければ多いほど、そのプラットフォームを使うメリットが出る構造です。
というか、情報の非対称性で勝負していないので、圧倒的な顧客基盤がないと、利益が上がりません。
大きくないと商売にならないのです。
そうすると、様々なサービス分野でプラットフォーマーの熾烈な争いが起こり、最終的には数社の寡占状態になります。
さらに言えば、メガ・プラットフォーマーであるGAFAに狙われたマーケットは、あっという間にGAFAに奪われてしまうでしょう。
中間搾取することを「中抜き」といいますが、中間業者を省くことも「中抜き」と言いますので、「中抜き」ビジネスモデルを破壊するのは「中抜き(中間業者)」するプラットフォーマーというややこしい言葉遊びのような状況になっています。
これからはオリジナル・コンテンツをいかに作れるかが勝負
「情報の非対称性を作り出す」というのはビジネスや勝負事では勝ちパターンの定石ですが、デジタル化の時代には難しい側面があります。
また、デジタル・プラットフォーム自体をみずから作るという道もあるにはありますが、GAFAのようなプラットフォーマーになる道を選ぶわけですから、ここはもう、相当ハードモードです。
やはりこれからは、いかにオリジナルなコンテンツを提供できるかが、ビジネスでの成功の分かれ目になる気がします。
ようは、多少上乗せしたお金を払ってもいい、と思えるようなブランド力を身につけるということです。
ブランドは情報の非対称性で勝負していません。
「信頼」で勝負しています。
オリジナル・コンテンツを作り続けることで、「この人にしかない」という信頼を作るのが、現代の勝ちパターンの気がします。
^U^
ひとことポイント
・情報の非対称性を活用したビジネスは難しいからオリジナル・コンテンツで勝負しよう
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