昨日の日経に、GAFAに関する公聴会の記事がありました。
ということで今回は、巨大なプラットフォーマーであるGAFAの規制の是非について書き記しておきたいと思います。
GAFAに対する公聴会
2020年7月29日(現地時間)、アメリカ版の独占禁止法である反トラスト法に基づいて、米大手プラットフォーマーであるGAFAの調査をしていた米議会下院の司法委員会による公聴会が開かれました。
ちなみに、ビデオ会議システムを経由しているとはいえ、GAFAの全CEOが一堂に会した初の公聴会だとか。
今回の公聴会のテーマは反トラスト法に関するもので、いわば適正な競争環境を確保するための、4社による違法行為の有無の確認です。
争点としては、「寡占状態は適正な企業努力による競争の結果、自然淘汰的に起こっているもので、違法性はない」とする4社の主張は正しいのかどうか。
公聴会において質疑された主な争点は以下のとおりです。
各社のCEOはそれぞれ「違反はない」と否定する立場を示しましたが、AmazonのベゾスCEOだけは外部事業者データの不正利用について、「内規で禁止はしているものの、内規違反があった可能性は否定できない」と、完全否定はできない状況だった模様です。
公聴会の閉会に際しては、議長から分割の必要性も言及されたようです。
GAFAの規制は諸刃の剣か
アメリカ国内においては、公正な競争の妨害行為の可能性を指摘されるGAFAですが、それと同時に4社に象徴されるアメリカのプラットフォーマーたちは、オンライン分野におけるグローバル規模での覇権の象徴でもあります。
つまり、インターネット・ビジネス、オンライン・プラットフォーム・ビジネスは、他国に比して、アメリカがずば抜けた競争力を持つ、非常に有利かつ重要な産業でもあるわけです。
自国の有望産業でトップに立つGAFAを規制することは、そのまま自国の産業競争力そのものを低下させかねず、極めて難しい舵取りを求めらます。
「競争環境の確保」と「顧客体験の創出」を同時に実現するバランスが求められる
公聴会の中では、「新型コロナウィルスで街角の小規模な店舗が苦境にある中で4社は大きな利益を上げている」という、現在の国民感情に寄り添うような発言もあったようですが、これはいささか暴論でしょう。
デジタル化に強い企業のビジネスモデルが、たまたまコロナ禍に耐性の強いものだっただけの話で、ダーウィンの進化論的には自然淘汰に該当するのではないでしょうか。
単に巨大な企業をあげつらい、バッシングするだけの政治的パフォーマンスでは意味がありません。
何より、ユーザーが望んでいるものを提供し続けているGAFAは、迅速なデリバリーを行うための配送センターの整備や欲しい情報が一発で見つかる検索エンジンなど、巨大な企業だからこそできていることもあります。
ただ、あまりにも巨大なプラットフォーマーが「常に正しいことをしている」と信じて、自浄作用だけに依存するのも現実的な選択肢ではないかもしれません。
そこには、「競争環境の確保」と「顧客体験の創出」を同時に実現するためのバランスと、それを実現するための仕組みが求められます。
1世紀以上前に施行された現行の法律が、デジタル化の時代に機能していないという事実はあるでしょうから、何らかの改正も必要でしょう。
個人的には、以前のエントリーでも指摘したように、ユーザーの監視と他のプラットフォーマーとの競争が、プラットフォーマーに「正しいことをする」動機を与えるのかなと思います。
分割は、私は今のところ反対ですが、世論や当事者であるGAFAはどう思っているのでしょうか。
今後の動向に注目です。
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ひとことポイント
・「競争環境の確保」と「顧客体験の創出」を同時に実現するための仕組みを考えよう
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