「この人の資料、なんか読みやすいな」と思っても、言葉でうまく説明できないことがあります。
それはおそらく、「メンタルモデル」がしっかりと考えられた資料だからだと推測します。
ということで今回は、プレゼン資料などに大切なメンタルモデルの考え方について書き記しておきたいと思います。
プレゼン資料でつまずく原因はちょっとした「違和感」
資料を使って人を説得するとき、何が大事かというと、それは資料の「流れ」です。
プレゼン資料は相手にちょっとした疑問でも持たれてしまうと、流れが止まってしまいます。
一度流れが止まると、色々なところが怪しく見えはじめてしまいます。
そうなると、相手に「なんとなく信憑性に欠ける」、「なんとなく好きになれない」と感じられてしまう可能性が大です。
「あれ?」と思う箇所が1か所ならまだ切り抜けるかもしれませんが、これが2カ所、3カ所と出てくると、もう「全体的に内容の怪しい資料」に認定されてしまいます。
コレを回避するには、相手の心を読んで、あらかじめ先回りしてなるべく疑問点をつぶしたり、読みやすいようなレイアウトを心がけたりする必要があります。
ということで、まず、説明の「相手」は誰なのか、明確にしましょう。
相手を想定していないプレゼン資料は、当てどなく旅に出るのと同じで、どこにもたどり着きません。
そして相手の「考えそうなこと」を想定して、その想定者に最適な資料を構成します。
相手のメンタルモデルを読み解く
「相手の考えそうなこと」はもう少し専門的に言うと、「メンタルモデル」となります。
メンタルモデルとは、頭の中にある「ああなったらこうなる」といった「行動のイメージ」を表現したものである。
出典:ウィキペディア
このメンタルモデルをうまく構成することができれば、ほとんど勝ったようなものです。
キレイなメンタルモデルを構成するためには、①人間の心理に共通する普遍的な約束事を守ること、②相手の属性にあった資料を心がけること、の2段階で対応します。
①は、広く一般的にあてはまる書き方のお約束を守るということです。
たとえば、一般的にA4横のスライドで過去と未来を矢印で表すとき、左側が過去で右側が未来、というのがメンタルモデル的には正解です。
数学のx軸、y軸と同じと考えればわかりやすいかもしれません。
また、文字の大きさについて、ものすごく大きな文字ばかりのページと、ものすごく小さな文字ばかりのページが同じ資料にあると、かなり違和感を感じます。
これは好みの問題もあるかもしれませんが、大部分の人が違和感を感じるポイントを見極めることが必要になってきます。
②は、相手の属性を理解して、その属性に適した資料作りをするということです。
たとえば、文字の大きさ、専門用語の使い方、鳥の目(マクロ)で説明するのか、虫の目(ミクロ)で説明するのか、などです。
小さい文字が読みづらいというご高齢の方に説明する際は全体的に文字を大きくして、読みやすくしたりする方がよいでしょう。
大きな文字と小さな文字が混在している資料は見づらいですが、読む側の人間の特徴を考慮して全体的に大きい文字で統一した資料は問題ないということになります。
「メンタルモデルを崩さない」は静的コミュニケーション・ツール全般で重要
「メンタルモデルを崩さない」という大原則は、全てのコミュニケーションに共通した、大変重要なポイントです。
ただ、メンタルモデルを意識的に前もって作り込む必要があるコミュニケーションは、その場で修正の効かないドキュメントなどです。
たとえば、プレゼン資料やスピーチの原稿、Webサービスの画面設計など静的コミュニケーション・ツールが該当します。
プレゼン資料を使って行う場合でも、プレゼンテーション自体は相手の顔色をうかがいながらその場で修正が効きますので、これには該当しません。
「この人の資料、なんか読みやすいな」と思うときがあったら、メンタルモデルの観点でその資料を分析してみましょう。
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ひとことポイント
・資料などの静的ドキュメントを作成するときはメンタルモデルを意識しよう
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