長らくiPhoneを起点としたプラットフォーマーとして君臨しているApple。
ただ最近、その地位を脅かす可能性のある存在が現れました。
スマホの中で大きな存在となりつつある「スーパーアプリ」。
今回はこのスーパーアプリについて書き記したいと思います。
スーパーアプリとは
スーパーアプリとは、スマホの1アプリでありながら、アプリ内に決済機能や不動産売買、レストラン予約など、様々なアドオン機能を「ミニアプリ」として追加することができるプラットフォーム的な役割を持つアプリのことです。
「アプリの中にあるミニアプリ」ってなんだかマトリョーシカのような存在のようですね。
スーパーアプリ内のミニアプリは、ユーザーがいちいち新しいアプリのダウンロードやら認証やらをやる必要がなくなるため、ユーザーにとってもメリットがあるサービスです。
日経の記事によると、スーパーアプリは「WeChat」や「AliPay」など、主に中国で隆盛しているようですが、日本でも、LINEが7月からミニアプリの登録を受け付け始めました。
また、ソフトバンクもスーパーアプリ構想を掲げており、英企業に出資するなど、着々と準備を進めています。
そういえば昨年、ソフトバンクはLINEと経営統合を発表していますね。
こうなると、楽天経済圏を掲げる楽天も、あとはAppleにプラットフォーマーの地位を奪われたかつてのプラットフォーマーであるNTTドコモやauも、スーパーアプリを狙いそうです。
スーパーアプリはAppleのビジネスモデルを脅かす
スーパーアプリが実現すれば、Appleのビジネスモデルに黄信号が灯ります。
分かりやすいかは微妙ですが、例え話で考えてみましょう。
Appleが、Apple自身で審査して通過した優良なお店だけを集めた「日曜バザー」を開くとします。
このバザーはレジがApple側で用意されており、会計をするたびにAppleに手数料が入るようになっています。
ところが、あるお店がバザー内に大きな場所を構えて商売を始めた途端、勝手に裏口を作って、そこから小さい業者を自分で勝手に審査して、自分の店にどんどん入れてしまいました。
さらにその店の中での取引はAppleのレジを使わず、お店の中のレジを通して会計をしていしまいます。
当然、Appleには手数料収入が入りません。
さらにお店自体がテントで覆われており、中にどんな人が来ていて、何を買っているのか、Appleは全く把握できません。
この例えの出来栄えは別として、この話でAppleは3つの「力の源泉」を失うことがわかりました。
1つ目は、アプリを審査する権利、2つ目は取引で発生する手数料、そして3つ目は顧客の取引情報です。
この3つはどれも、プラットフォーマーとして自分のパワーを大きくする際に重要なものばかりです。
これを失うことは、プラットフォーマーとしての地位を失うことにつながりかねないわけです。
顧客の囲い込みに向けたプラットフォーマー戦争
プラットフォーマーとは突き詰めれば、ユーザーと様々なサービスを結ぶエコシステムを持つものであり、その結果として、顧客・利益・情報の全てを総取りできる立場にあるプレイヤーです。
プラットフォーマーであるか、プラットフォーマーの中の一つのサービスを提供するエネーブラーであるかで、ビジネスをする上でのパワーに雲泥の差が出るために、多くの企業がこのプラットフォーマーを目指して競争をしています。
現状、プラットフォーマーの代表格と言えばGAFAで、これらはすべてアメリカの企業であり、まさにこの状況を覆す起死回生の策がスーパーアプリと呼べるでしょう。
ただ欧米では今後も、GAFAがプラットフォーマーとして力を持ち続ける気がします。
GAFAがそれぞれ多様なサービスを展開できており、欧米ユーザーのロックイン率はかなり高く、乗り換えコストが相当高いからです。
一方、中国や東南アジアは、米国プラットフォーマーに対抗するように発達した「WeChat」や「AliPay」、「Grab」のような自国に最適化されたスーパーアプリが隆盛していくでしょう。
特に中国は国策としても、アメリカのプラットフォーマーに財布の紐を握られたままではいられないはずです。
では、日本はどうなるでしょうか。
日本はいい意味でも悪い意味でも、中庸な国です。
欧米のサービスをすんなりと受け入れますし、現状はGAFAに対してユーザーの嫌悪感も国としての大きな規制もありません。
便利であれば受け入れるし、不便なら使わない、ある意味シンプルな選択をすると思います。
LINEを参加にしたソフトバンクがどう動くのか、今後の展開が楽しみです。
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ひとことポイント
・スーパーアプリの今後の展開を楽しみにしよう
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